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教育と政治 [教育]

2006年12月6日、教育基本法改定が参議院を通過したときの失望感、絶望感は大きかった。
これから日本の教育はどうなってしまうのだろう、この先どういう社会が待っているのだろう、という不安がぬぐいきれなかった。
「まだ日本国憲法がある」という言葉が、教育基本法改悪に反対した人達の間でなぐさめのように言われたけどあまりなぐさめにはならなかった。
それから8〜9年を経て、世相は確実におかしな方向に変わってきた。

安保法制に反対する人達を批判する人は、「まるで今すぐ戦争が始まるようなことを言うのはおかしい」などと言う。
戦争は今すぐ(この1,2年以内)に始まるということは可能性としては低いかもしれない。
簡単に戦争を始められるものではない。
今、集団的自衛権などの安保法制に反対するのは、10年後、20年後のことが心配だからだ。
時間をかけてゆっくりと知らず知らずのうちに、戦争態勢というものは作られていくのだろう。

戦争をする国になるためには国民の心がその方向に向かうことが必須だ。
だから、権力者は「教育のあり方」を気にする。戦後、この教育基本法を変えようとする動きは何度もあったがかろうじて守られてきた。
第一次安倍内閣が、教育現場の猛反対を押し切って(大きなエネルギーを使って)、教育基本法を変えたことは、8年後の集団的自衛権の内閣決議に見事につながっていた。
そういう目的があればこそ、教育基本法を変えたかったのだろう。
ほとんどの人々は、暮らし向きや経済の心配はしても、教育のことなどあまり気に留めないのだから。


政治家でも、一般の人でも、その人がどういう考えの持ち主かを知るには、「教育というものをどう考えるか」という一点だけを見れば十分だと私は思っている。
「教育」にこそ、人間の考え方が如実に現れる。

羽仁五郎の言葉
「教育というものは自由でなければいkない。教育と権力はあいいれない。つまり命令されて人間はいい人間になれるわけがない。自分でなろうとしなければだめだ。上から命令すればするほど自発性はなくなっていく。教育の根本はその自発性なのだ。」

教育基本法を変えたのは、まさにその『教育の自発性』をそぎ落とし、制限するのが目的だった。
今の学校は、小学校から大学まで権力が幅をきかせている。

自民党の国会議員の、
「若者が戦争に行きたくないなどというのは自己中心、利己的考えで、その原因は戦後教育のせいだ」という発言は、権力者の気持ちというものを知る上でとてもわかりやすい。

「権力」は、子供や若者に自発性を持たせたくないのだ。
教員に子供や若者に自発性を持たせるような教育をさせたくないのだ。
「権力に従わせる」「権力に進んで従う人間を作る」のが権力側の理想だろう。
そこでまずは「愛国心」を育てるという目標が生まれる。全国津々浦々に国の威光を示すために、入学式や卒業式を使う。君が代を強要する。国への忠誠があるかどうかの踏み絵がわりだ。

教育の内容にあれこれ口を出し、自由な発想を教育現場で生み出させないよう、いろんな意味のない研究会、調査、報告、レポート提出などを押しつけて、教員の時間を奪ってしまう。
無理矢理に「学校間の競争」を取り入れて、学問の場から矜持を奪ってしまう。


これが今の日本の教育の実態だ。
こういう教育環境の中で、安保法制に反対するSEALDsや高校生の集まりがよく生まれてきたものだと思う。
権力がいかに国民を手の内に納めようとしても、それは簡単ではない、ということだ。
それでも、場合によっては戦前の日本のように国のためには命を投げ出すのが当たり前、という雰囲気が一気に生まれる可能性が無いとは言えない。

15、6才頃の純真な(信じ込みやすい)心には、家族や国を守るためには命を捨てるという考えが、容易に入り込むだろう。かつての特攻隊員がそうであったように(痛々しい)。
これが「洗脳」だ。「偏向教育」の最たる例だ。

憲法を遵守し、憲法の精神をしっかりと児童、学生に教えていくのが教育者の務めだと思う。
どうか権力に負けないでほしい。

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コメント 6

shira

 ご心配はよくわかりますけど、SEALDsで頑張っている学生たちだけが特別にリベラルな教育を受けた、機会に恵まれた知性豊かな人たちだ、と思いますか?あの中には超管理主義の東京の公立高校出身者だって混じっているはずです。若者のことを純真だとか単純だとか決めつけない方がいいと思いますよ。
 私自身は、この流れは逆に面白いと思ってます。若者=ネット&アキバ=ボクの味方、と単純バカに受け止めていた坊ちゃん宰相にとって、今の状況はまったく予想外でしょうに。自分が担当している生徒を見ていても、右とか左とかはともかく、真剣です。
 
by shira (2015-08-06 22:57) 

jmh

「教育の根本はその自発性なのだ」本当にその通りだと思います。だからこそ民意に添わない政策を行おうとする権力者は、自分のアタマで考え、自分の意思で行動する民を恐れるのでしょう。しかし、彼らの思いとは裏腹に、意思を持った市民は増えていると思います。ぜひメディアは、権力の監視システムという存在意義を再認識して、腰の引けない報道を行ってほしいと思っています。
by jmh (2015-08-06 23:36) 

tamara

>shiraさん、若者を純真という言葉で括るのは確かに軽率でした。小学生だっていろいろですからね。でも若ければ若いほど何かに染まりやすいとは思います。軍国主義に染まるのなんかはけっこう簡単だったのではないかと。また、モーションを起こすことと、モーションが広がっていく様は、場合によっていろいろかなと思います。ともかく最近の若者の動きのおかげで、政治の話をすごくしやすくなったことは確かです。
by tamara (2015-08-07 22:16) 

tamara

>jmhさん、政府に反対する声が大きくなってきたためか、最近メディアの報道の仕方もちょっと変わってきつつあるような気がします。
「自分の頭で考え、自分で行動する」市民が増えると、なるほどそれでいいのかと、それが連鎖反応となり市民の間に広がっていくのではないかと思います。(希望的観測かもしれませんが)
報道に口出しするような政治には、報道員は結託してぶつかってほしいと思っています。
by tamara (2015-08-07 22:31) 

ayu15

SEALDsの参加者がこういう風な意味合いを言ってました。
「戦後の教育が悪い」と推進する大人は言います。
「もし戦後教育に問題があるとすればこういう大人を産んだことでしょう。」

マイナンバー即時廃止を!!
集団的自衛権のどさくさに拡大利用が通ってしまいました。
怖くて怖くて(自民は悪知恵だけは一流なのでめだたないようにじわじわくるでしょう)
多数の人が極めて危険と自覚した時は手遅れです。
by ayu15 (2015-09-10 13:21) 

tamara

本当にそうですね。教育の最大の失敗があるとすれば、法治国家の民として憲法を大切にする姿勢をしっかり教えられなかったことになると思います。もちろん教育だけの問題ではないのですが。
マイナンバー、本当に嫌悪感を覚えます。派遣法改正案も可決されるし、数の力で悪い方向にどんどん進んでいきます。
今の与党が潰れないかぎりどうしようもないですね・・。
by tamara (2015-09-10 20:33) 

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